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完成後には見えない不具合
~吹付ウレタン断熱の厚さ不足が招く断熱性能低下の実態~
「最近の家は高断熱だから安心ですよ」
新築住宅をご検討中の方であれば、
このような説明を受けることも多いと思います。
現在の住宅では、さまざまな断熱材が採用されています。
- グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材
- 押出法ポリスチレンフォームなどのボード系断熱材
- 現場発泡による吹付ウレタン断熱
断熱材には複数の種類があり、それぞれに特性があります。
重要なのは材や工法の優劣ではなく、必要な性能が確保されているかどうかです。
一例として、吹付ウレタン断熱の厚さ不足事例を取り上げます。
下記写真は、
天井面の厚さ不足(設計厚さ140ミリ)

削りすぎによる厚さ不足(設計厚さ80ミリ)

を確認したものです。
いずれも新築工事中の現場検査で判明しました。
仕上げ後には確認できなくなる工程で起きていた性能低下です。
1:断熱材の種類と特徴
住宅で用いられる断熱材は大きく三つに分かれます。
■ 繊維系断熱材
グラスウール・ロックウールなど。
壁で言えば、柱間へ施工する工法で、隙間なく納める精度が重要です。
■ ボード系断熱材
押出法ポリスチレンフォーム等。
床や外張り断熱に多く用いられます。厚みは安定しやすい一方、取り合い部の処理が性能を左右します。
■ 吹付ウレタン断熱
現場で発泡させるため形状への追従性が高く、気密を確保しやすい工法です。
ただし施工精度によって厚さにばらつきが生じやすい側面があります。
いずれの工法でも、規定厚さの確保が前提です。
2:断熱性能は「厚さ」が重要
断熱性能は、熱伝導率と厚さの組み合わせで決まります。
設計図書で「壁断熱100mm」とされていれば、その厚さがあって初めて本来の性能になります。
80mmであれば当然、性能は低下します。
断熱は「入っているかどうか」ではなく、「きちんと確保されているか」が重要です。
3:吹付厚さ不足とは何か
今回の現場では、天井面各所で設計厚さを下回っていました。
吹付断熱は表面が膨らんで見えるため、一見すると十分に施工されているように感じます。
しかし実際に計測すると、厚みにばらつきが確認されました。
4:削りすぎが招く断熱厚さ不足
吹付後は石膏ボード施工のために表面を削る工程があります。
問題は、この工程で必要以上に削ってしまうことです。
厚さ確認を行わないまま仕上げれば、断熱性能は確実に低下します。
施工管理の精度が、そのまま断熱性能に直結します。
5:なぜ見逃されるのか
断熱施工は
- 施工直後しか確認できない
- 施主が厚さを判断するのは難しい
- 写真では厚みが分からない
という特徴があります。
完成後に問題が顕在化しても、壁内を確認するには解体が必要になります。
6:放置した場合のリスク
厚さ不足を放置すると、
- 吹付後の厚さ確認
- 設計値との照合
です。
第三者による検査実施が有効です。
当センターの新築インスペクションでは、断熱厚さ、施工ムラ、削りすぎ、欠損部の有無を重点的に確認しています。
8:まとめ
断熱材は入っているだけでは性能になりません。
規定厚さが確保されて初めて設計意図が成立します。
仕上げ後には確認できない工程だからこそ、施工中の検証が不可欠です。
断熱不具合は、是正よりも「予防」の方が合理的です。
【お困りの方へ】
新築工事中の断熱施工に不安がある方、高断熱住宅で施工精度が気になる方は、
一般社団法人 住まいと土地の総合相談センターへご相談ください。
第三者の立場で、見えなくなる前の重要工程を確認いたします。
記事作成:ホームインスペクター 依田




