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ハウスメーカー現場管理の実態
前回のコラムで、ハウスメーカーの現場監督について書かせて頂きましたが、今回はその中から「現場管理」にスポットをあてて、実際の事例を基に一部ではありますが、ご紹介をさせて頂きます。
この記事の目次
最適な検査タイミング
まず、当センターが考える検査タイミングについてお話をします。
ハウスメーカーによって工法も異なりますから、現場工程(進め方)も異なります。
工程が違うという事は、検査タイミングもハウスメーカーによって異なるという事になります。
前提として、現場インスペクションは(第三者による現場検査)、工事期間中に
いくつもある工程の中の部分的な「ポイント検査」、つまり、「瞬間」的な検査になります。
ポイント検査の中で重要なひとつは、「最適なタイミングで検査を実施」する事です。
ただでさえ限られた回数しか伺えませんから、ハウスメーカー毎の各工程で重要な項目(その時にしか確認出来ない)を確認できるタイミングを把握しておく必要があります。
そのうえで、クリティカルなタイミングで、より重要度の高い項目を多く見ることができるという趣旨で検査を受託させて頂いております。
四半世紀にわたり大手ハウスメーカーの検査を実施してきたからこそ、クリティカルなタイミングを熟知していますし、当センターの検査員は「現場監督経験者」なので、木造・鉄骨造と様々な工法に精通している点が、他社と比較しても当センターの特徴(強み)のひとつと言えます。
検査が出来ない⁈
過去多くの検査事例をもつ当センターが考える「最適な検査タイミング」を、事前にハウスメーカーの現場監督に伝え、検査可能日を現場監督から連絡を頂き検査日時の調整をして、現場インスペクションを進めさせて頂きます。
検査日時の摺合せも、特に難しい内容はなく、基礎配筋検査を例に出しますが、
「基礎配筋検査のタイミングですが、基礎の鉄筋組み完了後で型枠組み前でお願いします」
現場監督であれば、上記の内容だけでも十分理解できます。
上記タイミングの候補日を挙げて頂き、調整して現場へ伺うという流れになるのですが・・・実際に現場にいってみたら、お願いをしたタイミングではない。という事が起こっています。
皆さん、そんなこと無いと思われると思いますが、特に多い項目が下記3つです。
➀検査工程に達していない
例:基礎配筋検査の場合、鉄筋が組み終わっていない。
➁検査工程を過ぎている
例:基礎完成検査の場合、既に建て方工事がはじまっている。
③検査出来る状況ではない
例:内部造作完了検査の場合、資材等が散乱し、足の踏み場もなく、材料が壁に立て掛け
られている為、目視確認出来る範囲が限られている。
要は、工程タイミングは合っているが、現場の整理整頓が全く出来ていない。汚すぎ
るといった事例もありますね。
そのような現場で正しい品質を確保して作業が出来ているとは思えません・・・
上記のケースはお分かりの通り、ハウスメーカー側の現場管理不足によるものです。
例えば、当センターのインスペクション前に社内検査を実施していない場合や、事前に現場状況を確認していない(職人に電話確認をしている程度・・・)などが挙げられます。
大手ハウスメーカーの現場監督が陥りやすいのが「大手病」でしょうか。
大企業のメリット(特徴)は「マニュアル主義」や「分業制」などが挙げられますが、その反面で現場監督は形式的な業務に追われて、主体性が欠けてしまう等、デメリットにもなっていると言えるのではないでしょうか。
※ここで言う主体性とは、決められた事だけをやるのではなく、現場で発生する事象に対して、自分の意志や責任を持ったうえで考えて判断・行動するという意味です。
全ての現場が予定通りに進むことが殆どありませんから、むしろ全て予定通りにいくのであれば現場監督の必要性もないのでは?とまで思いますので。
現場毎に責任をもって対応(調整・管理)する事が出来ていない方は、先ほど挙げた3つのどれかに当てはまる現場がでてきてしまう…という事ですね。
実際の事例紹介
ここからは、実際にあった事例を写真付きでご紹介します。
下記は、基礎配筋検査に行った時の状況ですが、全く鉄筋が組み終わっていませんでした・・
写真の通り、鉄筋が沢山残っています。

作業が終わっていませんから、当然現場監督の社内検査もしていません。
社内検査をしていないわかりやすい事例は下記です。
構造検査で現場タイミングは合っていたのですが…、各所耐力面材の釘施工の不適が多数散見されました。
釘を必要以上に打ち過ぎて面材端部が割れてしまっています。
このような状態だと、面材を貼り替える必要があります。

内部では、構造金物の施工不備が多数散見されました。
写真は、ホールダウン金物の締め込み不足です。

当センターは、建築主様の代理人という立場で現場インスペクションを実施させて頂いておりますが、ハウスメーカーは事前の社内検査もしないで、さあどうぞ見てください。
と言ってこの結果であれば、現場監督は何をしているのかと言及するべきですね。
別の事例では、断熱検査で天井(勾配天井)の断熱材の施工が全く終わっていませんでした。


「断熱検査」とはそのままの言葉通り、断熱の施工状況を確認する。これはさすがに、一般消費者様でもお分かりになると思いますので、なぜ断熱を入れていない部分がある中で検査依頼をしてきたのか=現場工程を全く把握していない、という事です。
下記は、3階建ての鉄骨メーカーの造作下地検査ですが、2階と3階が全く終わっていませんでした。事前確認もせず、工程通りに進んでいる前提で検査依頼をされた場合の典型的な事例です。


次は、造作完了検査(木完検査)です。
工程が間に合っていない、材料散乱、1部屋は材料で埋まっていましたから、ここまで材料が残っているという事は、作業が全く追いついていない事がわかります。



最後に、建物完成時の竣工検査です。
下記は2階建ての木造現場になりますが、検査に行ったらクリーニング中で・・・

他には、電気や設備工事が全く終わっていない現場もありました!


まとめ
ご紹介した事例は、大手・準大手ハウスメーカーです。
大手だから安心とは言い切れない事はご理解頂けましたでしょうか。
現場管理を怠れば、工期に直接的に影響がでる事が殆どです。
当センターも検査日程調整時に可能な限りヒアリングのうえ、工事現場が円滑に進むように配慮していますが、実際に工程管理はしていません(できない)から、限度があります。現場監督に確認して「この日で大丈夫」と言われれば、信じて検査に行くしかないのです。
ご紹介したような、現場は少数派ではありますが、ご自身の家がしっかり管理されていな
い可能性も十分にあり得るという事はご承知おきください
記事作成:ホームインスペクター 新井




