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インスペクション入れたい!と言った時の「住宅会社の反応や対応」
今回の記事は、インスペクションを採用する場合、ハウスメーカーや工務店はどういった反応をするのか?何か条件を付けられたりするのか?を解説します。
請負契約の締結前と後でも、対応は変わってきますので、インスペクションを入れたい!とお考えの方は、必読です。
・インスペクションを入れたい場合、どうやってハウスメーカーに伝えるのがいいか
・ハウスメーカーの基本的な対応
・介入を嫌がる会社はどういった反応をするのか?
・契約前と契約後では、対応が違う?
・一条工務店の場合
・どのような会社が、インスペクションを断る傾向にあるか
・インスペクションを入れたい場合、どうやってハウスメーカーに伝えるのがいいか
よく頂く質問に、「良好な関係である住宅会社に、インスペクションを入れたいと伝えたら、嫌な顔をされて関係悪化しないか?」というものがあります。一概には言えませんが、よく耳にする大手ハウスメーカーであれば、基本的には快諾してくれると思います。
「信用していないわけではないが、一生に一度のこと」
「第三者の検査や評価をもらって、より安心して暮らしたい」
という事をベースに、ご自身がインスペクションを入れたい理由を包み隠さずにお話されるのが一番かと思います。
当センターでは、あくまでも家づくりの主役は建て主と住宅会社であると考えています。長いアフターも信頼があってこそだと思いますので、建て主目線の厳しい検査とは言っても基本的には、請負契約当事者の関係性が悪化してしまう事は望んでおらず、双方が「家を建ててよかった!」と思って頂けるように努めています。
ただし、インスペクターによっては、重箱の隅を突っついたり、住宅建築や現場のことを理解しておらず、現場検査が始まってから、関係がこじれるケースもあるので見極めは必要です。
・ハウスメーカーの基本的な対応
ひと昔前に比べて「インスペクション」というフレーズが浸透してきました。結果として、インスペクション介入を希望される方が増えてきたのが事実です。以前は、個別対応という事で、ハウスメーカー側もまれに発生する事案の為、ルールを特に設けず、介入現場毎に、それぞれ対応していました。
最近の大手ハウスメーカー傾向では、インスペクション介入を断るというケースは少ないですが、「工期と費用を下さい!」という流れになってきました。
具体的には、検査の日時調整や検査立ち合い。また、事務作業が一定数増えるので、それらに伴う工期延長や費用を頂戴したい、という事です。当職からみて、提示費用や延長日数が理由なく、腑に落ちない説明の会社もなかには見かけます。各会社によって対応の仕方や、費用計上などはまちまちですから、インスペクション介入をお考えの場合には、契約前のできるだけ早い段階で、介入希望のお話をされることを推奨します。
・介入を嫌がる会社の反応
第三者が介入するのを嫌がる会社も多く存在します。その時点で、「自信がないのか?」という事で、より一層心配になってきてしまうと思います。
住宅会社側も直接的に「介入は禁止」とは説明できませんので、違った言い方で、インスペクション介入を諦めてもらうトークをしてくるのが多い傾向です。
「自社検査をしっかり実施していますから、大丈夫ですよ」「わが社を信じてください」と言ったものから…
「当社も第三者を入れていますから費用の無駄ですよ!」なども良く耳にします。
この場合の第三者ですが、ハウスメーカーであれば「性能評価機関」を指すことが多く、工務店の場合だと「瑕疵保険会社」を第三者と位置付けています。
性能評価は図面通りの材料が使われているか?がメインの確認事項になり、施工の良し悪しを判断するものではありませんし、瑕疵保険の現場検査は保険金を下すためのトリガー的なポジションですので、インスペクション介入を希望するニーズとは内容が全くことなるのでご注意ください。
・契約前と契約後では、対応が違う?
契約前と後では、インスペクション介入に対する住宅会社の反応が違います。当然契約前では、契約をしてもらいたいために「安請け合い」する担当者が多く、介入に関して快諾もしくは、積極的ではないが許可をしてくれるケースが多いです。しかしながら、書面に「インスペクション介入OK!」と書いておくだけでは不十分です。インスペクターがどの工程で、何を検査するか?検査結果によってどういった対応をするのか?
こういった確認と約束をしておかないと、後で簡単に反故されてしまう可能性があります。
一方、契約後では、インスペクション介入が難しくなるケースが多いです。当然、契約行為は「この条件でその住宅会社に家を建ててもらう約束」になりますので、既に約束したものに「追加」することを嫌がる住宅会社は多いですし、理屈で言えば、約束の後付けは建て主側の勝手になりますから、交渉ベースの話で言えば難しくなります。
・一条工務店の場合
大手ハウスメーカーではないですが、着工数が非常に多い一条工務店などは、基本的には第三者のインスペクター介入を快く思っていない(当センターの介入だけかもしれませんが・・笑)と感じます。
一条工務店で建築される多くの方から、お問い合わせをいただくのですが、インスペクション介入を伝えると、担当によっては「一条が指定するインスペクターであれば可能です」という説明を耳にします。住宅会社側の指定するインスペクター…って何?という感じですが、会社的には介入は断っていこうよ、という事なんだろうと推察されます。
一条工務店は非上場であり、かなりクローズドな作り方で家を販売しています。例えば、管理基準値など施工に関する大半は非開示の姿勢を貫き通していますので、我々のようなインスペクターが「これはダメだよね」と指摘をしても「いやいや一条ルールではOKなんです」といった対応が予想されますし、事実そのような対応を過去に経験してきました。これは工務店でも同様のことが懸念されます。情報非開示は非常に多く、結局どんな基準で工事を管理しているか?まったくわからない工務店も数多く存在します。
一条工務店で契約した皆様がインスペクションに何を期待するか?にもよりますが、当センターとしては契約締結後の交渉もスムーズにいかず、皆様におけるインスペクション介入のコストパフォーマンスが低いこともあり、一条工務店に関しては、原則的に【仮契約後の案件】につきましては、残念ながら介入をお断りしています。また工務店に関しては【過去に介入実績のない場合には、事前の取決めによる介入承諾が必要】と考えております。
第三者を介入させて、現場に一定程度の緊張感を持たせたい!など、どうしてもインスペクション介入を…、という場合には、ご期待にお応えできるかどうか心配ですが、お問合せください。
・どのような会社が、インスペクションを断る傾向にあるか
黎明期から様々な住宅に関するご相談を頂いてきました。土地のこと、相続に関する建築計画のこと、新築、リフォーム…など。当然、お問合せ頂きました方の一助になれるように伴走してきた自負はありますが、どうしてもインスペクション介入が難しいのが、建築家案件とローコストと言われるビルダー案件です。
建築家で自邸建築をする場合、大前提で建築家のデザインや人柄、作品が大好きでご契約されると思います。そこには、契約当事者の緊密な信頼関係があり、第三者が介入できない空気感が存在しています。過去に介入希望をお問合せ頂いきましたが実際に介入承諾を出した建築家は数える程度です。当センター以外のインスペクション会社も同様だと推察しますが、建築家で家を建てる場合には、インスペクション介入は、まず難しいと思っていたほうがよさそうです。なお、インスペクション介入が前提で、建築家に設計を依頼されたい場合には、過去にインスペクション介入実績のある建築家をお伝えすることは可能です。
ローコストと言われる会社に関しても、介入実績が少ないのが現状です。当センターでは第三者の立場でインスペクション介入させていただく前に、検査の基準や監理体制など、一定の質疑を投げかけさせて頂きます。その段階で多くのローコスト会社から「介入拒否」をされる経験がありますので、こちらも残念ながら受託をお断りさせて頂いております。どういった質疑か?気になる方は、当センターのセミナーで事前情報のご取得を推奨します。https://e-home-inspector.com/service/2seminar/
記事作成:市村崇

