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アンカーボルト施工ミスが招く重大リスク~見えなくなる基礎工事が家の耐震性を左右する!~
新築住宅の基礎工事で欠かせない「アンカーボルト」。
家を支える重要な部材ですが、見えない部分にあるため施工ミスに気づきにくいのが実情です。
この記事では、ホームインスペクターの立場から、以下のことをわかりやすく解説します。
この記事の目次
1. アンカーボルトとは?その役割と重要性
新築住宅の「基礎工事」で欠かせないのがアンカーボルトです。
これは、コンクリートの基礎と建物の木製土台を固定するための金属製ボルトで、地震や台風の力から建物を守る役割を担います。
アンカーボルトは、コンクリートの中に埋め込まれるため、完成後はまったく見えません。
そのため、施工時のズレや固定不足が、後に大きな構造トラブルを引き起こすこともあります。
つまり、「見えないけれど家の命を握る部材」なのです。
2. よくある施工ミスとその影響
❌ ① 位置のズレ
ボルトは本来、土台の中央に来るように設置されます。
しかし、型枠がずれていたり、固定が甘いとボルトが片寄ってしまうことがあります。
ずれたまま土台をはめると、木材を削る必要が生じ、耐久性の低下のリスクが高まります。
↓欠陥事例の写真:一見すると問題ないように見えますが・・・実際にはボルトが土台の中央から外れており、後から補修が必要になりました。
現場では「見た目は大丈夫そう」でも、少しのズレが後々の不具合につながることがあります。

❌ ② ボルトの浮き・埋め込み不足
コンクリートを流し込む際にアンカーボルトがしっかり固定されていないと、コンクリートの圧力で浮き上がることがあります。
また埋め込み深さが浅いと、地震時にボルトが抜ける恐れがあり、基礎と建物が分離する危険さえあります。
❌ ③ 本数・配置の間違い
設計図には、アンカーボルトの必要本数と位置が明記されています。
しかし現場では、数が足りなかったり、位置がずれていたりすることも。
特に、筋かいや柱の下にアンカーボルトがない場合、建物が地震でゆがむ・ずれるリスクがあります。
3. 工事中にチェックできる3つのポイント
「専門知識がないから見ても分からない」と思われる方も多いですが、
実は施主でも簡単に確認できるポイントがあります。
チェックリスト
ボルトがまっすぐ立っているか(極端に傾いていないか)
全体的な高さが均一かどうか?(埋め込み長さの不揃い)
図面通りに配置されているか(柱・筋かいの位置)
コンクリート打設後にナットが見えているか(埋まっていないか)
また、建築会社に**「アンカーボルトの施工状況を写真に残して見せてください」**と依頼するのもおすすめ。
施工記録を残しておくことで、後々のトラブル防止にもつながります。
「見えなくなる工程ほど写真や検査をお願いした方がいい」という意識を持つことが大切です。
4. 施工ミスを放置するとどうなる?
アンカーボルトの施工ミスをそのままにしてしまうと、
次のような深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。
地震時に土台がずれて、建物躯体が傾く・浮く
木材を削って合わせたことで、構造耐力が低下
ホールダウン金物(引き抜き防止金物)が正しく取り付けられない
こうした不具合は完成後には確認できず、いざ補修することとなった場合には多額の費用がかかります。
つまり、「見えなくなる前に確認する」ことが最も重要なのです。
5. 第三者検査(ホームインスペクション)の活用
施工不良を防ぐためには、**第三者検査(ホームインスペクション)**の活用が非常に効果的です。
我々、ホームインスペクターは、施工会社や設計者とは独立した立場で住宅を検査する専門家です。
特に以下のタイミングで検査を行うと安心です。
おすすめの検査タイミング
コンクリート打設前(配筋検査・アンカーボルト検査)
コンクリート打設後、土台設置前(アンカーボルト位置確認)
第三者の目で確認することで、見えない欠陥を未然に防ぎ、施工品質を確認できます。
6. まとめ:見えない部分こそ、家の強さを決める
アンカーボルトは、小さな金属部品に見えて、実は家全体の安全性を支える重要な要素です。
施工ミスは完成後には確認できないため、**「写真」「検査」「確認」**の3つが欠かせません。
見えない部分の品質こそが、長く安心して暮らせる家をつくります。
不安を感じたときは、専門の第三者機関に相談することをおすすめします。
【お困りの方へ】
家づくりに関するご相談は、
一般社団法人 住まいと土地の総合相談センターへ。
現場経験豊富なホームインスペクターが、
“見えない欠陥”からあなたの住まいを守るお手伝いをいたします。
記事作成:ホームインスペクター依田

