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【見落としがちな設備】
建物完成間近の方からお問合せ頂いた内容です。
ご意向と違う形で完成してしまったようで、ハウスメーカーとのやり取りが下記になります。
お客様:「分電盤の位置が天井付近になっています。事前に何の説明も受けてはいなかった為、もっと低い位置にしてほしい。」
某メーカー:「図面通りの位置(弊社の標準位置)なので、変更の場合を希望の場合、別途費用が発生する。」
お客様はもともと、分電盤を操作する機会は、日常で少ない事は認識していますが、停電のような緊急時に操作が必要な為、暗闇で慣れない脚立から転倒・怪我をするのではと不安を抱えていたようです。
言った言わない・説明が不十分・約束と違う!という事は、結構頻繁に発生します。
このようなケースで確認しておくべき事項を考えていきます。
ハウスメーカーの説明義務とは
★ハウスメーカーは住宅建築・販売する際、法律に基づいた説明義務が課せられています。
パッと上げるだけでも・・、下記のような項目があります。
- 宅建業法に関する重要事項説明(土地売買等の場合)主に登記、都市計画法や建築基準法の制限に関する説明など
- 建築士法に関する重要事項説明主に設計・監理の業務内容や報酬額に関する説明など
- 住宅瑕疵担保履行法に関する説明主に瑕疵(欠陥)を補償する為の資力確保措置に関する説明など(大手ハウスメーカーは保証金供託制度の利用が多い)
- 消費者契約法に基づいた信義則上に関する説明主に法律に明記されていない場合であっても、消費者の不利益にならない為に、判断材料となる情報を誠実に提供する事など
- 建築物省エネ法に関する説明(2025年4月からの法改正による)主に省エネ基準に適合しているか。していない場合、適合させる処置の提案が必要。
例えば、今回の「住宅用分電盤等の設備機器について、正確な位置の説明がなかった」場合、
説明義務違反に該当するのでしょうか?
法律上、「具体的な設置高さを説明する必要がある。」とは明文化されていませんので
一概に、即「説明義務違反」とは言えず、現場が契約図面通りに施工がされている場合
むしろ問われる可能性はかなり低いと思います。
「標準」ってなに?
注文者である建築主様は、拘りをもっている事に関しては、数センチ若しくはミリ単位まで
ハウスメーカーへ要望をだして(例えば、インターホンやスイッチ、コンセントの高さなど)
その通り出来ているか確認をすると思いますが、その他の特に当たり前に設置されるもの
は、日常で頻繁に使用しないもの、今回で言えばまさに住宅用分電盤の位置に関しては
不便では無い場所に設置されるだろうと思って、ハウスメーカーに「お任せ」という方が殆
どではないでしょうか。

基本お任せ。という事はハウスメーカーが標準的に決めている場所や高さが採用されるケ
ースが多く、利便性・安全面・施工効率・コスト面などを根拠として各社で設定しています。
ただし、その「標準」が皆様の生活スタイルと必ずしも合致するとは限らないという事です。
また、分電盤の設置に関して、内線規程では下記の通り定められています。

*内線規程(JEAC8001)とは
電気設備の設計、施工、維持、検査の技術的事項について民間団体(一般社団法人日本電気協会)が定めた民間自主規格です。
(注)内線規程に法的な強制力はありませんが、一般的に準拠して施工されています。

言及できるケースと言及できないケース
- 操作や開閉が物理的に困難(天井が高すぎる、家具と干渉して隠れてしまう)。
- 生活に著しく影響する場所(生活動線を塞いでしまうケース)。
- 事前に要望した内容が明らかに反映されていない(場所や高さの指定をしていた)。
上記に該当する内容があれば、まずは言及するべきだと思います。
言及が難しいケースの一例
- 一般的な位置、高さに設置されている(高さ1.8~2.0mくらい)。
- 図面に位置が記載されており、その通り施工されている(詳細な説明を省略されていた)。
- 設計段階で具体的な指定をしていない(言わなくても不便ではない位置になると思った)。
- 構造上等の理由で位置が限定(制約)されてしまう場合。
上記に該当する内容があれば、言及しても意見が通る可能性は低いと言えます。
その為、追加費用の全額負担を避けるような交渉ベースに切り替えるべきでしょう。
例えば、建築主様がご高齢の場合や身長が低いなど、建築のプロとして実際に生活する建築主様に対して事前に提案してほしかった…など。同情を訴えるという事ではなく、今までの打合せ経緯なども踏まえたうえで(例えば、日常でよく使うものは全体的に低めに設置するように指示をしていた経緯がある等)交渉の余地を探るのがよろしいですね。
まとめ
皆様はどうしても、耐震性や断熱気密(UA値・C値)など重視される事が多いと思います。
勿論、とても重要な要素という事に間違いはありませんが、細かい個別要素にも目を向ける事も失敗の無い家づくりへの第一歩だと思います。
ちなみに、住宅用分電盤以外にも「見落としがちな設備」というのはいくつかあります。
- 換気扇不具合:分電盤と同様で、位置が高いと日常メンテナンス(お手入れ)が困難。
- 点検口不具合:日常的に頻繁に利用する動線に設置されている。
- 火災報知器不具合:アクセントクロスの場所に設置されていて非常に目立つ。
家づくりは「契約した時がピーク」という言葉を聞きますが、契約(約束)したものが正しく引き渡されるまでは気を緩めてはいけません。
まずは契約前までにしっかり要望を伝えて、その内容が漏れなく図面や見積書等に反映されているか?をしっかり確認し、納得したうえで契約する事が重要です。
ただし、「家」は完成してからが本当のスタートだという事もご承知おきください。
これから家づくりを検討される方・ハウスメーカーを決められた方・既に工事がはじまっている方で、タイミングに関わらず、心配ごとなどあれば、当センターは少しでも皆様の家づくりのお役にたてるようにサポートをさせて頂きます!
些細な事も構いませんので、お気軽にお問合せ頂けますと幸いです。
記事作成:ホームインスペクター新井




