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2025年11月の検査結果 「ミスを隠ぺいする会社!」
11月は 【92】件 の現場インスペクションを実施いたしました。
今回の指摘事例も、先月同様に【基礎完成検査】の不具合になります。
住宅会社はビルダーです。
*ビルダーとは、一般的にハウスメーカーと工務店の間(中規模)の位置づけになります。
基礎自体の仕上がり状況は、概ね良好だったのですが、基礎のアンカーボルトの施工状況で
過去事例も決して多くない指摘内容がありました。
下記の写真が隠ぺい部分。何かわかりますでしょうか?

下記の写真だとわかりやすいかと思います。
まさかの・・・、アンカーボルトが切断されています!

アンカーボルトの部位は、
ねじ部(座金やナットを取付ける為にネジが切られている部分)と
軸部(ネジ部以外のボルトの胴体部分 ※埋め込み部分も含む)があります。

一つ目の不具合は、ネジ部を切断すると、単純にネジ部が短くなります。
当該部位のアンカーボルトの役割は、基礎と土台を緊結する役割にありますので
このままでは、正しく緊結ができません。

現場ではどのような処置をしたのか・・・
上記写真、赤枠で囲っている「1」の範囲は、ボルト切断後の残ったネジ部です。
青枠で囲っている「2」は、現場でネジ切加工をしてネジ部分をつくっています。
写真をよく見て頂くと「1」と「2」でボルトの色が違うのがわかりますか?
アンカーボルト表面にはメッキ(防錆効果)が施されています。色合い種類等により
異なりますが、当該ボルトは黄金色のメッキですね。
「2」はメッキが無く、ボルトの素地(銀色)が見えている状態なのがわかりますので
現場で加工(ボルト表面を削って)してネジ部を造ったと判断できます。
メッキも剥がしている為、錆が発生しますね・・
二つ目の不具合は、アンカーボルトには、必要埋め込み深さが決められている為、必要な埋め込み深さが確保されていないと、ボルトに必要な引抜耐力が確保できないという事です。
*埋込み長さは使用する材料によっても異なります。

上記参考画像のように、アンカーボルトには必要埋め込み位置に刻印がされています。
刻印が基礎天端から出ている場合、ボルトの埋め込み深さが足りないと判断できる為です。
材料メーカーも施工のミスが起きないような工夫をされていますが、それでも人がやる事ですからミスは少なからず発生します。

写真の印部分
アンカーボルトと基礎天端取り合いの根元部分が曲がっていますね・・・
今回の事例で一番お伝えしたい事
アンカーボルトを切断した事により、正しい施工がされたかのように
【偽装をしたという事実】があったという事です。
現場担当者も把握されていなかった為(本当はどうかわかりませんが)、是正方法含めて
その場で厳重に指導いたしました。
一箇所でもこのような事例が発覚すると、その他の部分は本当に問題は無いのか???
と思われても仕方がありません。
現場インスペクションでなければ、発見する事が出来ない事例は多いですから、家づくりに関するご心配ごとがありましたら、遠慮なくお問合せください。
★2025年10月の検査結果はこちら
https://e-home-inspector.com/blog/result_202510/
記事作成 ホームインスペクター新井




