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2025.10.02

私たちの考えるインスペクター像

大切な我が家を建てるにあたり、後悔したくない!と思うのは当たり前です。失敗しないために、「インスペクターを頼もう」という場合ですが、本コラムでは、どんなインスペクターに頼むべきか?の参考になれば幸いです。

 

・インスペクターってどんな人がやっているの?

・インスペクターにも得意不得意がある

・何を期待してインスペクションを入れるのか?

・私たちが考える理想のインスペクター

 

・インスペクターってどんな人がやっているの?

勤め人を辞めた後、自身でインスペクションを行おう、という方の経歴(前職)は様々だと思いますが、多くは次のような経歴を持っているのではないでしょうか。

・不動産業界に従事

・設計事務所を開設していた

・工務店を経営していた

・ハウスメーカーの設計担当や現場監督

・工務店の設計担当や現場監督

・検査機関の検査員

まったく低層住宅業界に関係ない方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、多くは多少なりとも業界に触れていたと思います。

 

自分で屋号を掲げている方、どこかに属している方、フランチャイズ加盟など形は様々ですが、一番大切なのは「前職で何をしていた=どんなキャリアを持っているか」だと思います。

 

・インスペクターにも得意不得意がある

低層住宅は非常に奥が深いのですが、参入するには垣根が低い業界と言われています。設計事務所をやろう!工務店をやってみよう!というのが、わりとハードルが低く、規定も甘いのでトンデモナイ業者に当たってしまう事もしばしば見かけます。これはインスペクションを始めよう!という場合にも当てはまりますので、見極めるためにはその人の「得意分野は何か?」をきちんと説明を受けて、納得していただく必要があります。

 

例えば、有資格ですが一級建築士でないとだめか?という事を耳にしますが、そんなことはありません。建築士の資格は、建物種別や規模により、設計監理の可不可を制限していますので、二級建築士範疇の建物であれば合法と言えますし、2階建ての木造住宅を見たこともない一級建築士よりも、経験値のある二級建築士の方が信頼できる点もあります。

もっと言えば、現場施工の良し悪しを判断するのは、建築士ではなく「建設業法」の区分です。建築関係の専門工事店や工務店を営業するには、社内に必ず専門の技術者を置かなければなりませんが、単に一級建築士や二級建築士であればよいとことは無く、材料や施工に関して深い知見をもった施工管理技士などの資格を求められることもあります。配置技術者が可能な国家資格でも一目瞭然です。

保有する資格だけではなく、その人がどんな経験を積んできたか?同時に、現在は何を得意としているのか?を注視する必要があります。

 

当センターを例に出しますと、先代の経歴は「大手サブコンの構造設計」から「自身で設計事務所を開設」「個人注文住宅を中心に1800棟の実施設計」を経て、「自社設計施工の注文会社を運営」の後、インスペクターを始めました。

代表の私は、「大手ハウスメーカー現場監督、本社勤務」を経て、「自身で設計事務所を開設」「工務店を開業」した後、先代のインスペクション会社にてインスペクターを開始しています。

こういった経歴もあって、最も得意なのは図面の精査、見積もりのチェック、新築住宅(アパート)建築現場の検査(ハウスメーカー、工務店とも)という事がお判りいただけると思います。

 

・何を期待してインスペクションを入れるのか?

そして最も重要なのは、インスペクターに「何を相談したいか?」「何をしてほしいか?」ではないでしょうか。住宅設計のみをしてきた人に、現場の検査を期待するのは酷ですし、現場しか知らない現場監督出身者に「間取りの相談」をするのも、ちょっと違う…という事です。

 

・私たちが考える理想のインスペクター

注文住宅の新築現場インスペクションに限り、我々が考える理想のインスペクターをお伝えします。

1:インスペクションを主業として、他の業務を行っていない

→例えば、設計事務所や工務店として設計業務や建築工事の請負などを、自社で受注しない。これは、インスペクションの相談に来た方を、別の仕事で受注することがないようにという趣旨です。

2:低層住宅業界の経験を持ち、現場監督業務に従事したことがある

→大型建築物や店舗などと、住宅は全くと言っていいほど仕事の進め方が違います。また、現場監督を(まじめに)経験した者は「現場を見ただけで」「職人を見ただけで」、いい悪いのニュアンスをかぎ分けることができます。

3:検査(インスペクション)に際して、検査基準を明確にしている。併せて、基準を住宅会社(ハウスメーカー、工務店)とすり合わせを実施後に、インスペクションを受託している

→いつ何を、どのような基準で検査をするか曖昧にしている場合、インスペクション開始後にトラブルに発展する可能性が高いです。

4:検査手順が統一化されている(ハウスメーカーではメーカーごとに)

→特許のようなオリジナル商品を販売しているメーカーでは、その商品特徴を鑑みた検査手順・手法が必要になります。

5:検査には適切な機器を使用して検査をしている

→感覚(人間の目や、平衡感覚など)は優れています。斜めの床に立てば、傾斜しているのはわかります。しかしながら、その日の体調によっても感じ方は様々ですので、可能な限り「機器」を使用して見える化を図った検査が望ましいと考えます。

6:検査で指摘のあった場合には、何がいけないのか?どう直すべきかまで指示する

→単に「これはダメです」「基準から外れています」ではなく、なぜNGなのか?作り手に納得してもらう必要があります。現場で言い争う事ではなく、施主・作り手の双方が納得・満足してほしいからこそ、原理原則の指摘姿勢が必要です。

7:指摘が直ったかどうかまで確認を行う

→指摘をしただけでは意味がありません。約束通りに修補されているかどうか?を確認して、初めてインスペクションが完了したと言えます。

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