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2025.10.02

ホームインスペクションとは

そもそもホームインスペクションとは何か?今回は、これをテーマに説明をしていきます。

 

・黎明期のホームインスペクター

・国交省がホームインスペクションを掲げた理由

・インスペクターと診断士の違い

・確認申請業務とは何か

・瑕疵保険会社と住宅性能評価は第三者の立ち位置なのか?

・ホームインスペクションとは

 

・黎明期のホームインスペクター

2000年あたりに、数は少ないですが「インスペクター」という職分が、日本で生まれました(もともと諸外国では当たり前の職分だったのですが、わかりやすく説明するためにこのように記載します)。当時は、分譲マンション内覧の完成検査、欠陥住宅の建築紛争ほう助、当センターの新築住宅現場検査などが業界の走りです。

それぞれの長所短所はさておき、不動産業界から派生したのであれば引き渡し前の完成現場検査というように、前職経験を活かしたインスペクションが主流だったと記憶しています。

当然、これまでにない職分でしたので、インスペクション自体の定義も曖昧で、誰が、何を、どこまで検査(調査)するのか?は、各人にゆだねられていた状況でした。当センターでは、先代が構造設計出身の意匠系でしたので、図面精査から始めるという特色を持っていました。

 

・国交省がホームインスペクションを掲げた理由

国交省は、平成29年に創設された既存住宅状況調査技術者制度にて、建物状況調査を行う事をインスペクションと位置付けました。これは中古住宅の流通市場を活性化させ、空き家問題の解決を主に視野に入れた政策で、不動産業界とタッグを組んだ取り組みです。既存住宅売買瑕疵保険の活用と併せて、売主・買主が安心して取引できる市場環境を整備しましょうという事です。

この既存住宅診断に関連するプロジェクトには、業務に関する線引きやチェックシート作成など実務経験者の知見が必要であったと思われ、不動産業界出身のインスペクション会社が参画しており、国家資格ではない民間資格ですが「既存住宅状況調査技術者(診断士)」なるものがあります。

 

・インスペクターと診断士の違い

ここまで読んでいただけると、我々が定義する「インスペクター(インスペクション)」と「診断士」には、大きな違いがあることがお判りいただけると思います。

診断士は既存住宅を対象に、主に劣化診断をする職分であるのに対して、インスペクターは新築工事中に第三者として検査を実施し、是正すべき点を改善する。つまり出来上がるものを、より良くしていこう!という事になります。

 

・確認申請業務とは何か

また、別の話になりますが、ここで住宅会社が言う「第三者」について説明をします。建築基準法第6条には、確認申請業務に関しての定めがあります。本来は建築主(施主)が、お伺いの申請を出すのですが、当然建築に関しては素人ですから、まったくわからないことだらけです。ですから、住宅会社が「建築主の代理人」として、図面を作成し、申請を提出するわけです。

 

図:確認申請の流れ

 

 

この申請先は建て主が決めるわけではなく(というより、そんな説明もないのですが)、住宅会社が好きに選んでいますので、公平なチェックかどうかが不明なことが問題視できます。

 

・瑕疵保険会社と住宅性能評価は第三者の立ち位置なのか?

もう一つ知っておくべきことは、新築住宅に瑕疵があった場合に、補修などを行った事業者に保険金が支払われる制度です。

国土交通省HPより

 

こちらは平成12年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により定められました。新築住宅は「瑕疵保険に加入していない建物は引き渡しをしてはいけない」という事が法律で決まりました。

一見すると、保険法人は別会社ですから、第三者と言えないこともないですが、被保険者はあくまでも住宅会社ですので、保険法人の選定や保険費用の払い込みなどは住宅会社に決定権があります。つまり、保険法人から見れば住宅会社はお客様という事で、利益享受が発生していますから、厳密にいえば第三者とは言えないことがわかります。

 

一方、住宅性能評価は、住宅の性能を評価し表示するための基準(性能表示基準、評価方法基準)に則り、登録住宅性能評価機関が実施します。

国土交通省HPより

 

設計性能評価(図面の確認)と建設性能評価(現場の確認)に分かれており、現場では登録機関検査員の検査が実施されることになっています。この「検査」は、図面通りの仕様になっているか?例えば、断熱材の種類や厚みの確認が主で、施工に関することはチェックをしていません。正しい日本語で言えば検査ではなく、「確認」という方がしっくりくるかもしれません。

性能評価機関も瑕疵保険会社と同じような立ち位置で仕事を受注していますので、完全な第三者と呼ぶには疑問が残ります。

 

 

・ホームインスペクションとは

話をまとめると、ホームインスペクションとは、最低限「第三者」であることと、「対象建築物が何か?」「何を期待して頼むのか?」によって、選定する必要があることがお判りいただけるかと思います。第三者とは利害関係のないことが最低限の条件ですので、住宅会社とその案件で金銭授受の関係にない事が求められます。加えて、新築住宅のインスペクションを頼みたい場合には、診断士では検査ができないことも注意点です。

 

インスペクター (inspector) とは、直訳すれば「検査官」「監視員」のことです。 アメリカでは、利害関係を持たない第三者のホームインスペクターを建築主が雇い、 建築主の代わりに技術的な検査を実施、改善指導を行うことが一般的です。
当センターは、建築主から直接ご依頼を受け、消費者目線の第三者として公平・公正の 立場で、設計図書や見積もりの精査、新築工事中の現場検査を「厳しく検査・監視」します。

 

 

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