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直さなければ意味がない
インスペクション会社の中には、「指摘はするけど直っているかどうか?の確認はしない」という会社もあるようです。この話を聞いた時には、驚きました。単に検査に入っただけではインスペクションを介入させる意味は半分以下だと思います。
・指摘と指導
・現場監督からの相談
・是正確認の方法
・なぜ確認をしないインスペクション会社があるのか
・指摘と指導
当センターではインスペクションで指摘するだけではなく、是正方法をすり合わせします。なぜこうなってしまったのか?どう直せばいいのか?を現場監督と直接話します。単に「直してね」という指示だと、間違った直し方になってしまう可能性も否定できず、それにより再度壊してやり直し、という事態が発生してしまうのを防ぐためです。指摘項目や内容によって、壊す必要があるのか?壊さずに、部材を追加して対応するのか(壊すと他に悪影響が出る為)、場合によってはもっと前の工程に戻す必要などもあります。
・現場監督からの相談
当センターでは、現場監督からの相談も受け付けています。我々が指摘した内容を、建て主と現場監督がやり取りするのは「建築を知らない建て主」では、難しいと思います。請負工事契約の当事者ではないですが、建て主の代理行為として、技術面のサポートを実施させて頂き、現場サイドと直接話すことで、双方の誤解や行き違いをなくすことが最良だと考えます。例えば「ジャンカの撤去範囲はどこまでか?」、「含水率の乾燥法でいい方法を知らないか?」「フローリング貼り換えにあたり、ボンド種類はこれでいいのか?」など。自身たちは検査のみを実施し、このようなやり取りを、建て主と現場監督の話し合いのみに任せるというのは酷だと考えます。
・是正確認の方法
検査で出た指摘は、その場で直すのが理想です。検査中に直すことができれば、修補後の状況を確認します。ただし、その場で直せないことが多いのも事実です。例えば検査日に職人が立ち会っていない、是正するための材料が現場にない等が、主な理由です。
直した後に再度確認に現場に赴くのが理想ですが、費用や時間を鑑みるとそうは言っていられないケースがほとんどです。当センターでは、直した後の写真を撮影していただき、写真にて是正完了を確認します。直す方法や範囲などを、細かく現場で監督とすり合わせをしていますからこそ、この手法も成立すると思います。
また、建築の指摘では「釘が不足している箇所にもう1本打ち込む」「断熱材の隙間をなくす」など、見て確認できることが多いのも事実です。しかしながら、写真では判別できない、指示した修補方法ではないケースもあります。そういった場合には、再度写真を撮影してもらうなど、複数回のやり取りが発生します。そもそも写真では判別できないような指摘であれば、再度現場に検査に行くことも視野に入れる必要があります。
・是正確認ができない場合
万が一、直っているかどうか確認できないのに、次ステップに行ってしまった場合には、原則的には壊していただき、工程を少し戻して「是正状況を確認」します。この辺りが、当センターが厳しいと言われる所以でもあります。個人的には「当たり前」だと思っていますが…。特に構造や断熱など、性能に直結する内容であれば、壊してでも確認する必要があるというのが、当センターの基本的スタンスです。
・なぜ確認をしないインスペクション会社があるのか
「確認をしない」というインスペクション会社は、おそらく建築請負契約の当事者外という立場の為、直させる権限がないとお話するのではないでしょうか(実際に見聞きしていないので、あくまで想像ですが)。しかしながら、裏には「施工者ともめるのが嫌だ」「直す・直さないは検査とは関係がない」「修補確認が面倒」「現場(直し方)を知らない、自信がない」・・などの理由があるように思います。それでは、依頼者である皆様にとっては、有効にインスペクションが働かないと思いますので、我々はボーダーを事前にすり合わせし、必ず直していただいた上で、次工程に進んでもらうように努めています。